森林保全にお金を流す新しい仕組み / Andika Putraditama

概要
項目 内容
公式タイトル The Big Idea Funding Forest Conservation
登壇者 Andika Putraditama
公開日 2025年6月17日(TED Talks Daily配信回として公表)
プラットフォーム TED Talks Daily(TED)
URL https://www.youtube.com/watch?v=NOW7jjBbkb4

要約

項目 内容
誰に パーム油や日用品と森林破壊のつながりを、ちゃんと整理して知りたい人。自分の消費行動が気候変動にどう効いてくるかを考えたい高校生~社会人。ESG・サステナビリティ担当や、サプライチェーンに関わるビジネスパーソンにも向く内容。
課題・テーマ パーム油など「生活に欠かせない商品」をやめずに、どう森林保全の資金を集めるか。企業の調達量に応じて、森林保全・再生への拠出を義務づける「Rimba Collective」という仕組みで、気候危機の資金ギャップを埋ごうとする挑戦。

要点

No 時間帯 (mm:ss-mm:ss) 要点
1 00:08-02:04 インドネシアなどでは、最大の排出源が工場ではなく「森林とピートランドの喪失と火災」だと説明する。農業・森林・土地利用セクターは世界排出の約5分の1を占めるため、森林とピートランドという巨大な炭素吸収源を守らずに気候変動は止められない、という前提をまず押さえる。
2 02:06-03:39 森林保全のための資金は、全気候ファイナンスの4%未満しか届いておらず、明らかに足りていないと指摘する。その不足を埋める仕組みとして、企業がパーム油などの原材料を使えば使うほど多く拠出する「Rimba Collective」を紹介し、50万ヘクタールを25年かけて守る長期モデルだと説明する。
3 04:00-09:06 現場は「アクセス困難な森」「20年以上の権利確保」「国際認証に対応できるローカル組織不足」など、投資可能な案件を探すだけでもハードルが高いと語る。一方、企業側には「1ヘクタール5ドルを3年だけ出せば十分」といった甘い認識もあり、森林保全を「慈善」ではなく、商品の本当のコストとして組み込む発想転換が必要だと訴える。

チェックポイント

用語

用語名 説明
ピートランド 死んだ有機物が何千年も積もった、炭素を大量に蓄えた湿地。燃えると一気に大量のCO2が出る。
マングローブ 海岸周辺に生える樹木の林。波から陸地を守りつつ、多くの炭素をため込む沿岸生態系。
サプライチェーン 原材料の調達から加工・流通・販売まで、商品が届くまでの一連の流れ。
Rimba Collective 企業の原材料使用量に比例して拠出金を集め、森林の保全・再生に長期的な資金を出す仕組み。
エコシステムサービス 森林などの自然がくれるサービス。気候を安定させる、洪水を防ぐ、といった人間の生活を支える働き。
外部コスト(外部不経済) 商品の値段に含まれていない、本当は社会全体が払っている環境負荷などのコスト。

定量

項目 内容
農業・森林・土地利用の排出割合 世界の温室効果ガス排出のおよそ5分の1を占めると説明される。
森林保全への気候資金 農業・森林・土地利用セクター向けの緩和資金は、全気候ファイナンスの4%未満にとどまる。
Rimbaの長期目標 今後25年で、東南アジアの森林およそ50万ヘクタールの保全・再生を目指す。
現時点の支援規模 仕組み開始から約3年で、約22万ヘクタールの森林への資金供給をすでに行っている。
必要な土地権利の期間 投資の継続性を担保するため、少なくとも20年以上の土地管理権がある森林をターゲットにしている。
パーム油による森林喪失 世界全体で、パーム油生産に関連する森林喪失が約600万ヘクタールに達していると紹介される。
牛肉産業による森林喪失 牛の放牧・飼育のための土地拡大で、約4500万ヘクタールもの森林が失われていると示される。
一部企業の誤解の目安 「1ヘクタールあたり5ドルを3年間出せば十分」という、実態とかけ離れたイメージがいまだに根強い。

社会課題・リスク

論点 内容
森林保全の資金ギャップ 気候ファイナンスのごく一部しか森林保全に流れておらず、このままでは森の喪失と気候危機が止まらない。資金の配分構造そのものを変える必要がある。
企業責任のあいまいさ 一部の企業は「自然保護は自分たちの責任ではない」「少額・短期間の拠出で十分」と考えがちで、結果として長期保全に必要な投資が集まらないリスクがある。
地域コミュニティへの影響 森林が守られなければ、森に生活の糧を依存する地域コミュニティの生計も不安定になる。絶滅危惧種の生息地も失われ、生物多様性の損失が加速する。
インフラ・運営コストの軽視 パトロール用のバイクや車、見張り台、ピートランドの水位を調整するための堤防など、現場の運営には継続的なコストがかかるのに、それを見込まない予算設計をするとプロジェクトが続かない。
外部コストの未内部化 シャンプーなどの製品価格に、森林喪失や将来失われる炭素吸収力のコストが反映されていないままだと、いつまでも破壊的な生産が割安に見えてしまう。

 

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